2011年05月04日

寺田寅彦とウェルズ

以前に書いた記事、ここで
     kobito_b.gif クリックしてね


『緑の扉』についてコメントしました。



オイラの記憶で、


日本人の作家がこの緑の扉について書いていて、しかもその本の注釈が的を射ていない


のを覚えていたのですが、この時点でどうしても思い出せませんでした。



確か、夏目漱石関連だったと思い、吾輩は猫である、三四郎、門、それから、などの注釈を調べてみましたが、載っておらず、複数の出版社で探してもダメ。
  本屋さんで、文庫本の語注の部分だけを読みまくりました。もうやだ〜(悲しい顔)




??? 漱石じゃなかったんだっけ?



と、鴎外、志賀直哉、太宰治、三島由紀夫の作品まで検索の範囲を拡げて蔵書を開いてみましたが、結局見つからず、途方に暮れて書き上げたのがあの記事なのです。



こういう時って、不完全燃焼で悔しいよね。もうやだ〜(悲しい顔)



ところが、本日、久しぶりに読んでみたいと思って開いた文庫本、


寺田寅彦随筆集 第四巻
   寺田寅彦  岩波文庫

寺田寅彦随筆集 第4巻
寺田 寅彦著 / 小宮 豊隆編
岩波書店 (1992)
通常2-3日以内に発送します。


収録の『銀座アルプス』の随筆の文に


『この菓子箱のふたは自分の幼時の「緑の扉」であったのである。』

というくだりを発見しました。


というより、この部分に赤いしるしがついていました・・・・・。



でもね、この文庫本は昭和48年の発行ですよ。寺田さんの随筆は大好きでその後も何回か読み直したものの、ここ10年は確実に読んでいない。忘れるのも無理ないでしょう?



ただ、やはり、黄色く変色してしまっているにもかかわらず、この第四巻だけ残してあるのは、引っ掛かりがあったのでしょう。



この「緑の扉」の後尾にある注釈。

         バッド(下向き矢印)


「緑の扉、あるいは green door という成語は未詳。「緑」は幼い時代の形容に使われるので、著者の造語か。




ね、不勉強でしょ。寺田さんがO・ヘンリーの作品を読んだのはほぼ間違いないと思われるし、あるいはウェルズの「塀についたドア」を読んだ可能性も十分あるわけで、随筆の語句もそのような意味で使われています。

     (注)この解釈、全く金魚の独断であります。誤解のありませんように・・・


ああ、すっきりしたぁ。漱石関連というのも当たらずとも遠からずでした。



追記


この随筆集に収録されている【 科学と文学 】には、 『 ウェルズの未来記 』という記述がある。

寺田さんがウェルズを読んでいたのは確実なようである。O・ヘンリーよりも。

で、『未来記』とはなんぞや?というと・・・・・


ウェルズの『タイムマシン』は、1913年(大正2年)『八十万年後の社会』の題名で黒岩涙香が『萬朝報』に連載、大好評を博した(Wiki)


いわゆる、『タイムマシン』のことらしい。
1896年に執筆された。 『塀についたドア』は、1906年執筆。


寺田 寅彦 1878年(明治11年)〜 1935年(昭和10年)


要は、「寺田寅彦さんの随筆にある『緑の扉』は、O・ヘンリーではなく、ウェルズの小説を意識している」というのがオイラの見解です。


(注)この記事は2006年9月に書いたものですが、加筆訂正したため再掲しました。



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posted by 金魚 at 22:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 寺田寅彦 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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