最近は欧米に習い、日本でも積極的に告知がされるようになりましたが、それでもこの命題に正解はないでしょう。
渡辺淳一さんは、失楽園に代表される恋愛小説と、医療をテーマとした小説という二つのジャンルの作品があります(この二者を兼ねそろえた小説もありますが)。
大学生活の頃より、この医療をテーマにした小説を長編・短編と読みまくりました。その中で、ガン宣告を扱った短編を3つ紹介します。
優しさと哀しさと (書名)
集英社文庫 収録 『優しさと哀しさと』
光と影 (書名)
文春文庫 収録 『宣告』
白き手の報復(書名)
中公文庫 収録 『遺書の告白』
最初の作品『優しさと哀しさと』は、
呼吸器系の権威である大病院の院長が末期の肺癌とわかり、その教え子でもある部下達が、告知すべきか悩みながら治療に当たるというストーリーです。
次の『宣告』は、
画壇の大御所という地位を占める画家に対して、告知すべきか・・・結局芸術家には余命まではっきりと告知して、悔いのない人生を全うさせたほうが本人のためにも、また、我々にとっても有益であるという医師の判断で宣告するが、その結果は・・・?
三つ目の作品である『遺書の告白』は、
二人の子供を持つサラリーマンが食道癌になり、手術を受けるが、進行癌で手遅れであった。告知をせずに、最後を看取ろうとするが、その結果は?

医療を知り尽くしている元内科教授、画壇の老大家、商社の部長と、設定を変えてのがん告知のテーマ。
短編ながら読みではあります。是非読み比べてみてください。
最近は渡辺さんの小説をとんと読んでいないので、このほかにもがん告知をテーマとする作品がありましたら教えてください。

今回は、ディック・フランシスを語る予定でしたが、ミステリやSFばかり扱っていると、オタクのおっさん

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