2005年09月08日

ディック・フランシス、満を持して登場!

 ディック・フランシス、ついに本命の登場です。

 書く書くと言っておきながら、なかなか書かなかった作者でした。ベタボメしているにもかかわらず、ほったらかしにしておいたのには訳があり、やはりこういう傑作は秋の夜長にじっくりと親しんでほしいからです・・・(本当か?)


 読書好きのオイラですが、競馬には全く興味がなく、読む気にならなくて手を伸ばさなかった作者でした。30代になって初めて読んだ作品は『興奮』

 まさに「興奮」しました。何でこんな面白い小説を学生時代に読まなかったんだろう。アホ〜アホ〜、カラスが鳴いとる・・・ほんとうにもったいないことをしました。「競馬シリーズ」なんてハヤカワさんが銘打っているからいけない。ブツブツ・・・競馬を知らなくても全く問題なし! 楽しめます。

 作者は、競馬の元騎手どころか、女王陛下の専属騎手、全英チャンピオンという華麗な経歴の持ち主。それが引退したら傑作ミステリを連発という、驚嘆する才能・異色作家であります。

 このシリーズは、実に三十数作(正確に把握してません、すみませぬ)、全作は残念ながら読破していませんが(読みたくても汚れた文庫本は買わないので)、全て面白い。多作には駄作が出るのが宿命と思えるのですが、全て傑作と佳作以上・・・誉め過ぎかぁ?

 さらに凄いと思うのは、「シリーズ」といいながら、この作品群で同じ主人公が登場する小説がない、ということです(唯一の例外が『大穴』『利腕』)。・・・これ、間違っているようです。下のコメントお読みください。

 さて、どの作品をおススメするか迷いますが、

興奮
  ディック・フランシス ハヤカワ文庫


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 文庫シリーズ第一作ということだけでなく、この作品は、ミステリとハードボイルドの二つを併せ持つ、贅沢な一品なのです。「ハードボイルドの巨匠」なんてオビでレイモンド・チャンドラーを読ませられた時には、「ふ〜ん、こんなもんか。」と思いましたが、ディックさんは違いましたね。
 『興奮』は英国推理作家協会賞受賞作です。本当のシリーズ第一作は『本命』う〜ん、こっちも捨てがたいんだけど。

 ううっ、こんなに絶賛していいのか? 「ばかやろーっ、ウソツキ、金返せ!」と言われたら、どうしよう・・・文庫本なんだから、許してね。オイラの書評の基準は、過去の紹介記事で判断してくださいまし・・・弱気になってる。


posted by 金魚 at 12:07| Comment(2) | TrackBack(1) | ミステリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月09日

義経=ジンギスカン伝説・・・ってタイムリー?         【成吉思汗の秘密      高木 彬光】 

成吉思汗の秘密
   高木 彬光  光文社文庫


成吉思汗の秘密
高木 彬光著
光文社 (2005.4)
通常2-3日以内に発送します。


 源氏の英雄義経は、兄頼朝に疎まれ平泉に逃れたものの、頼った藤原氏に討たれたというのが定説ですが、衣川の合戦で自害したのではなく、それから蝦夷、蒙古に渡りジンギスカンになったという伝説があります。

 この壮大というか荒唐無稽というか、もの凄い伝説を、名探偵神津恭介が立証するという歴史推理小説です。

 思い起こせば、小生の高校時代、同じく読書好きの悪友から薦められて読んだ小説でした。高木さんの作品を読んだのはコレっきりですが、強烈な印象を受けた小説でした。青春の一ページだよなぁ・・・なんてキザなことは書きたくねーっ!

 ・・・失礼しました。それでですね、この文庫はしばらく絶版してたようです。先日久しぶりに新装なった復刊文庫本を書店で見かけて、勢いで買ってしまいました。

 ど派手な赤いオビに、『歴史ミステリーの白眉』、『日本ミステリーの名作中の名作』と、そこまで言うかぁというほめ言葉が書いてあります。17で読んだ後、20年の時空を経て・・・もとい、20年ぶりに読了した感想はといえば・・・皆さんも読んでみ。

 それ以上でもそれ以下でもなく。この酷暑に読むのでしたら、むしろ軽〜い「鯨統一郎」さんの、
  『邪馬台国はどこですか?』

邪馬台国はどこですか?
鯨 統一郎著
東京創元社 (1998.5)
通常2-3日以内に発送します。


オススメです。・・・だったら、最初からそれを書けですって? だから言ったでしょ、青春の思い出だって・・・『邪馬台』は、軽くて楽しい歴史ミステリ短編集です。せっかくですから鯨さんのファンサイトを覗いてみて下さい。




posted by 金魚 at 00:14| Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月05日

再び、ホームズより人気のモース警部について

 前回、ポアロやホームズより面白い本格ミステリとして紹介した、デクスターさんの第二作を取り上げます。

 キドリントンから消えた娘
   コリン・デクスター  ハヤカワ文庫


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 ふつう本格推理では探偵の説明は解決篇でのみ開陳されるのに対して、この作者の場合は全編にわたってモース警部による仮説が構築・崩壊・修正・再構築を繰り返し、作品全体を論理の迷宮さながらにしてしまう。この手法は第二作『キドリントンから消えた娘』で一挙に開花し、デクスターのお家芸として定着する。・・・『ウッドストック行最終バス』の解説より。

 面白い小説について、二転三転し・・・などと解説されたりしますが、この『キドリントン』ときたら、二転三転どころか、五転六転、いや七転八転、いやもっとストーリーは複雑になっているようで・・・数え切れない!・・・モース警部の推理が崩壊するたび、読者は「またぁ?」と、驚き呆れてとことん振り回されるのです・・・快感!

 この(アクロバティックな推理)と称されるモースの推理(空想・妄想)にあなたは絶対にハマル!? ・・・か怒って文庫本をたたきつけるか、どっちかな?

 この猛暑ですから、冷房のないところでは、モースのおっさんに付き合いきれません。たぶん。脳みそ腐っちゃうよ。

 
 残酷でおどろおどろしいミステリなんて、ミステリの邪道だと思いませんか? ・・・ところでワタシはホームズも好きです、念のため。小中学生のころは熱中しましたし、その後も何度も読み返しています。40過ぎても楽しめます。もっとも、Xの悲劇やYの悲劇は再読する気になれませんが。

次回は、ディック・フランシスかな?



posted by 金魚 at 00:00| Comment(1) | TrackBack(1) | ミステリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年07月30日

クィーンもアガサも面白くない・・・ウッ言ってしまった! 【 ウッドストック行最終バス  コリン・デクスター 】

 アガサ・クリスティエラリー・クィーンを読んでも、どうもそれほど面白くないと思うのは、オイラだけなのでしょうか。・・・巨匠達をけなしてしまった!ファンの皆様、すみません。・・・というわけで、今日のテーマは、ミステリ。

 ホームズさん以来、ミステリに登場する名探偵達(警部等を含む)は、すばらしい推理力で、どんな難事件でも簡単に解決してしまう。
 
 なかには、殺人現場に足を運ばないどころか、部屋から一歩も出でずして、
    『犯人は、この男だ。』
な〜んて、お前は超能力者かよ、とツッコミを入れたくなる小説もあったりして・・・
もうそんなミステリには飽き飽きしているそこのあなた! モース警部をご存じない?


ウッドストック行最終バス
   コリン・デクスター  ハヤカワ文庫
 



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 この小説に登場するモース警部は、事件を机上の推理だけで、解決しようとする。・・・それじゃあ、その他大勢の名探偵たちと同じじゃん、と言うなかれ。彼の華麗な?推理は、相棒のルイス部長刑事の調べでわかった新たな証拠やアリバイにより、そのつど崩壊してしまいます。

 とにかく、捜査よりも推理が好きなお方だから、その仮説が構築・崩壊・修正・再構築の繰り返しで、読者はあっちこっちに引きずりまわされて、ハラホロヒレハレ、最終的には見事に事件は解決するのですが、読後感は、?????。

 「アクロバット的な論理」と解説では言いますが、むしろ空想・迷想・妄想とも呼びたくなるように推理を展開していくこの手法は、一度味わうと、くせになります。はまっちゃいます。私は、全シリーズ読んでしまいました。

 すでにイギリスでは、なんとホームズやポアロを凌いで、最も人気がある名探偵となっています。ポアロに飽きちゃったあなたにはオススメの一冊です。

posted by 金魚 at 01:55| Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年07月20日

まずは、四日間の奇蹟から

本 四日間の奇蹟
  浅倉 卓弥  宝島社文庫

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 この小説を読んだのは昨年ですが、「このミステリーがすごい!」大賞の受賞作として、新聞、週刊誌、月刊誌の書評の絶賛を浴び、ベストセラーとなりました。文庫本の売り上げも、もの凄いようで、今年は映画化により、ますますブレークしそうです。

 どこがミステリーじゃい、とのツッコミはおいといて、文庫本の解説どおり、その卓越した文章力と伏線の見事さ、導入部の巧みさは、確かにすばらしい。読ませます。解説のお方は、心揺さぶられ、感涙に咽び通しだったそうな・・・ もうやだ〜(悲しい顔)

 しかし、あっしのような中年オジサンは、この程度のレベルで感涙には咽びません。
むしろ、ラストの教会でのピアノのシーンでは、なんか、引いちゃったなぁ。・・・おいおい、ここはクライマックスだってば!

と酷評してしまいましたが、青春まっただなかの中高生には当然ながらおすすめです。文学作品の読書には、最適の年齢時期があるのです。例えば中年オヤジが、若きウェルテルの悩みを読んでウルウルしてたらキモイでしょ。がく〜(落胆した顔)

さてさて、奇蹟といったら、コレです!

スペードイエスの遺伝子
   マイクル・コーディ  徳間文庫


 1998年に単行本が出版されましたが、この邦題と、鈴木光司瀬名秀明といった錚々たる作家たちの賛辞でベストセラーとなりました。

 遺伝学者のトム・カーターが、脳腫瘍の娘ホリーを救うために、かの遺伝子を見つけ出そうと試みる一方、救世主の復活、再臨を願う宗教団体と、暗殺者との対決、複雑に絡み合い、ストーリーは息もつかせぬ展開となります。

すばらしい、と言いたいところですが・・・・・

ダイヤ審判の日
   五十嵐 均  角川文庫


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 遺伝子工学・クローン技術とキリストの復活・再臨。そして、新たなるユダ。・・・キリスト教に縛られない日本人だからこそ、ここまで書けたのでしょうか? 絶賛!

この作品は、もっと評価されるべき。全国の書店の皆さま、
かわいい 審判の日 かわいいを是非とも店頭の目立つコーナーに置いてくださいまし。

・・・・・そういうわけで、今回のイチオシの作品は、
審判の日でした。

          やや欠け月 四日間の奇蹟   
          やや欠け月 イエスの遺伝子 
          満月 審判の日   
posted by 金魚 at 23:22| Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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