2015年02月25日

一月の第四日曜

本 三月の第四日曜 日本文学100年の名作第3巻1934-1943
池内紀/編 川本三郎/編 松田哲夫/編  新潮文庫



『日本文学100年の名作』と銘打って、新潮社が文庫100年を記念して全10巻を出版するそうで。


全部揃えてみようかなと思ったのですが、1巻、2巻、面白そうでないのよね。


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第3巻の目次をペラペラとめくると・・・

オイラの好きな海音寺潮五郎さんと中島敦さんの名前があるで。

これなら読めるかなぁ。



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創刊100年記念、全10巻の文庫全集。萩原朔太郎から中島敦まで、激動の時代の13編。

日中戦争、第二次世界大戦が勃発、史上最大の戦時に。過酷な時代を文学はどう生きたか。萩原朔太郎「猫町」/武田麟太郎「一の酉」/菊池寛「仇討禁止令」/尾崎一雄「玄関風呂」/石川淳「マルスの歌」/中山義秀「厚物咲」/幸田露伴「幻談」/岡本かの子「鮨」/川崎長太郎「裸木」/海音寺潮五郎「唐薯武士」/宮本百合子「三月の第四日曜」/矢田津世子「茶粥の記」/中島敦「夫婦」。



・・・・・・・・・・



   つまんねえよ。


考えてみれば、これまでほとんど文庫化されてないんでしょう?


そこに気づかなけりゃいかんよねw



海音寺さんも中島さんも、いただけなかったです。



文学史的価値はあるのでしょうが・・・つまんない。


文章も長々と読みにくいし、ストーリーもつまらない。

まぁ、村上春樹よりはましだけどさw


こうしてみると、現代作家の文章や物語の構成力ってのはうまいものだと思います。

   まぁ、例外もあるけどさw



もうこの本は二度と開かないでしょう。


一月の第四日曜に読了し、がっかりした。



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posted by 金魚 at 21:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 純文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年07月20日

真継伸彦の傑作   無明

本 無明
真継 伸彦   河出文庫


あまり知られてはいない小説ですが、傑作です。  

今日、7月20日で、ブログ7周年になります。絶版になってしまった文庫本ですが、これは取り上げておきたい。



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はすでに紹介しました。
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中世の崩壊を予告した応仁の大乱から、北陸に燃え広がった一向一揆の時代 ――― 越前の飢饉の村に生まれ、戦火によって孤児となった少年は本願寺の門徒に拾われ心源と名乗る。武闘と政争・謀略のただなかにあって、信仰の意味を問い続ける心源の苦悩 …… 蓮如上人、連歌師・宗祇などを配して、宗教と政治の逆説的関係を鮮やかに浮き彫りした、名作『鮫』に続く大河小説


『宗教と政治の逆説的関係を鮮やかに浮き彫りした』とありますが、鮮やかに描きだしたのは宗教の矛盾でしょう。


衆生を救うための宗教が、勢力を拡大するために俗世の政治にまみれ、変質していく。

理想を実現するために、信徒に戦を強いる。大義と物欲。

当初は信徒とともにあった指導者は教団の巨大化により、民から離れ、権威をもって組織を維持するようになる。



作者は底辺の民衆も美化はせず、

『乱世の原因は、いっさいの衆生の、人なみに暮らしたいという願望である。』

と、主人公(心源)の口を借りて指摘する。

収穫できる米には限りがあり、生きるために衆生は土地を闘い奪い合うしかない。

『士、農、工、商、非人、穢多。かかる不平等な秩序を断乎として維持し、ごく少数の人間だけが人なみな喜びを味わい、大多数の人間が桎梏に苦しむというのが、実は平和な世の実相でござりまする。言うなればこれは鬼の秩序であり、それゆえに鬼の手を借りなければ、秩序ある世の中は回復せぬのでござりまする。』



昭和57年の初版文庫本。わずか220ページ程度の作品ですが、傑作。手放せない文庫であります。


どう考えても、エログロ小説家の村上春樹や日本語のへたな大江健三郎の作品より、はるかに優れた小説だと思うのだが、世間に知られていないようだ。

              言っちまったー。がく〜(落胆した顔)


つまりは、彼らよりノーベル賞作家にふさわしいということになるのですが、題材が中世日本の宗教・政治となると、日本に精通した外国人にしか評価されないでしょうね。


せめて文庫を復活して、若者たちに読んでもらいたいものです。

               河出文庫さんよ、なんとかしてよ。



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posted by 金魚 at 23:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 純文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月18日

今になって、塩狩峠・・・

本 塩狩峠 
三浦綾子  新潮文庫



本棚にある、かみさんの文庫本。

芝木好子、瀬戸内晴美、三浦綾子、曽根綾子、佐々木丸美、辻邦生、トーマス・マン等々。



       佐々木丸美さんや辻邦生さんは読んだっけな。



瀬戸内晴美、三浦綾子かぁ・・・・・仏教 vs キリスト教w



キリスト教にしてみるか。


               
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内容(「BOOK」データベースより)
結納のため札幌に向った鉄道職員永野信夫の乗った列車が、塩狩峠の頂上にさしかかった時、突然客車が離れ、暴走し始めた。声もなく恐怖に怯える乗客。信夫は飛びつくようにハンドブレーキに手をかけた…。明治末年、北海道旭川の塩狩峠で、自らの命を犠牲にして大勢の乗客の命を救った一青年の、愛と信仰に貫かれた生涯を描き、人間存在の意味を問う長編小説。




この内容紹介文、相当ずれてますな。




主人公、永野信夫の10歳の少年時代から描かれています。その成長と、人間形成に関わる人との出会い。

明治初頭、祖母は当然ながら江戸時代の人間であり、士族の家柄を意識し、誇り高い。

父は、温厚な人柄であるが、信念を持って生きている。



読みやすい文体で、初めの数十ページは、次郎物語のような印象を受けました。



あらすじに触れることはあまり書きたくないのですが、



親友との出会い、肉親の死、そしてキリスト教が、信夫の人格形成に大きく関わっていきます。



ネットの書評で、「キリスト教が鼻につく」というようなものがありましたが、金魚はそのような印象はありませんでした。

キリスト教に感化されて、信者として生きた人物の物語なんですから、キリスト教のことをある程度詳しく書かなきゃ話にならないでしょう?




傑作、名作というよりも・・・


       良作と評価したい。



50過ぎのオヤジだけど・・・素直に、感動、感銘を受けました。

           金魚は素直なんです。猫


できれば、高校、大学時代に読んでおきたかった作品です。



娘には、「今読んどけよ。」と薦めました。



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posted by 金魚 at 23:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 純文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月25日

真継伸彦 鮫

本 
真継伸彦  河出文庫


越前・三国湊近くの海辺に非人の子として生まれ、鮫と呼ばれて飢えと差別のなかで育った若者は、母の死を契機に京に上る。時は中世、応仁の乱たけなわの頃であった。人肉を食らい犯した女を殺し悪逆の限りをつくして生きる<鮫>の前に現われた蓮如上人の娘、見玉尼――宗教と政治の相剋を通して、人間の極限を描いた文藝賞受賞の力作長編!




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大学時代に買って読んだ作品。読むのは3、4回目になるでしょうか。久しぶりです。



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 非人の子として生まれた主人公は、幼少時代、極貧の生活を過ごす。肉親の死により、生きるために京に上るが、そこでも飢えと差別から逃れうるはずもなく、盗み、殺人、あらゆる悪逆を尽くす。

第一篇の数十ページに描かれるのは、陰惨な少年時代である。読んでいてほんとにしんどい・・・・・まあ、これがあってこその第二編ではありますが。

第二編「夜明け」では、鮫が、蓮如上人の娘・見玉尼に出会うことで浄土真宗の世界に身を置くことになる。しかも、「下間蓮見」という名を賜り、ここで重要な地位を占めることになる。


ここで描かれる、宗教と政治の相剋。下間蓮祟と蓮見との問答は圧巻であります。



長編と言っても、250ページに満たない作品ですが、読後は、500ページもの大作を制覇したと思うほどの心地よい疲労感を覚えました。



五十を越えて久々に読み、おおいに満足した傑作であります。



こんなふうに紹介されたりもする小説であります。
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オイラは、村上春樹なんぞより、真継伸彦さんを評価したいですね。




どうして、このような作品を、河出文庫は絶版にしちまうんだぁ?

        これほどの傑作を埋もれさせちゃうのかよ。



          ばかちん!むかっ(怒り)



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posted by 金魚 at 18:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 純文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月29日

名人伝   中島敦

この書評は、三周年記念に書こうと思っていたんですが。

結構文庫本読んでいるんですけど、なかなか書評を書くまで至りません・・・先週も中国歴史小説を読みましたが、最初は楽しく読んでいたものの、読了したら、もうがっかり。


そういうことで、記念すべき日の記事は、「名人伝」をと予定しておりましたが、今日読んだ恩田陸さんの小説が面白かったので、それを書きます。期待してね。
( 7月10日頃 )



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本 名人伝
 中島敦  角川文庫


山月記李陵の、あの中島敦さんの作品です。おのおの短編ですので、当然ながらこの三作品はこの文庫の中に全て収録されています。




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弓の名人になるために数々の修行を積む男・・・その修行が想像を絶します。

たとえば、
機織り機の下に仰向けになり、瞬きをせずに見つめる。

たとえば、
シラミを見つめているうちに、それが馬のように巨大に見えてくる。




この男が天下一の名人になろうと修行を積んでいくその行き着く境地は・・・・・







さて、この名人伝の小説の中で出てくるエピソードで、

『第一の矢が的に当たり、次に射た第二の矢がなんと第一の矢の筈(はず)に当たる』



スゲーのぅ、と小説に感心していてはいけません。





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本 日本の弓術
 オイゲン・ヘリゲル  岩波文庫




大正末期から昭和初期にかけてひとりのドイツ人が日本の弓術の大家に師事するが、その哲学的・禅的な教えに当惑する。



「弓を腕の力で引いてはいけない、心で引け」


「矢を意志をもって放してはいけない、矢がひとりでに離れるまで待て」



?????  


 合理的・論理的精神をもつ西欧人のオリゲル君がいきなりこんなこと言われても〜!



当惑し、反発し、挫折しながらも少しずつ師の教えを体得していくその過程が面白い。



さて、この中で、阿波師範が暗闇の中で射た二本の矢。




ぴかぴか(新しい) 第二の矢が第一の矢の筈に突き刺さってそれを二つに割いた! ぴかぴか(新しい)




      ドヒャ〜 がく〜(落胆した顔)




ほんとに、名人はやっちゃうんだよ〜 がく〜(落胆した顔)




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金魚所蔵の文庫本の価格をみると250円だから、この文庫は30年くらい前、大学時代に読んだんですね。



なんでこんな本を買おうと思ったのか今では全く覚えていませんが、高校時代に読んだ名人伝の記憶が残っていたので、感動して手にしたのかなー?



この本も、三十年以上持っているんだな・・・文庫本は場所取らなくて本当にいいですね。



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posted by 金魚 at 22:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 純文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月18日

無事の人

久々の更新です。

本を読んでいないわけではありませんが、なんとなく記事を書く気になれませんで・・・。




砂糖の世界史         岩波ジュニア新書

人体常在菌のはなし      集英社新書

「海底遺跡」超古代文明の謎  講談社+α文庫

粋に愉しむ焼酎NOW     小学館文庫

焦茶色のパステル       講談社文庫

あなたの人生の物語      ハヤカワ文庫

孤立無援の思想        旺文社文庫


・・・などなど。



人体海底遺跡は、ちょっとマニアックのような気もしますし。


砂糖の世界史は結構面白い内容でしたが・・・


焦茶色のパステルは、紹介記事を書きかけたのですが、めんどくさくなり、非公開のまま・・・もうやだ〜(悲しい顔)



あなたの人生の物語は、なかなか。記事アップするかもしれません。


孤立無援の思想は、久々に読みましたが、絶品。

本当はイチオシしたいのですが、この本絶版に・・・

旺文社のアホちっ(怒った顔)



オイラのお勧めしたい本は、大抵絶版してまして・・・もうやだ〜(悲しい顔)




さて、

これも、大学時代に読んで以来のほんとうに久々の再読なんですが、




本 無事の人  
   山本 有三  新潮文庫


山本氏の作品として、路傍の石真実一路は青少年向きの小説。オイラも中学時代読みました。純粋多感の時期に読むべき作品だと思います。



しかし、この作品は、むしろ大人向き。青少年が読んでもその良さが分かるかどうか?



宇多という男が宿で出会ったあんまが語るその半生。無骨・実直に生きる男を描き、表題の「無事の人」のこころを読者に示す。





山本有三、戦後唯一の作品でありますが、およそ100ページの短い小説ながら、佳品です。若者よりも、


本 中年が読み楽しむ一品


と言えるのではないでしょうか。



posted by 金魚 at 18:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 純文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月29日

三島由紀夫のこころ

ぴかぴか(新しい) 英霊の聲 ぴかぴか(新しい)
      三島由紀夫 河出文庫 

本を読んで感銘を受けたり、感動することはありますが、衝撃を受けるということは滅多にありません。

大学時代に読んだこの作品はまさに衝撃的でありました。

文庫本は黄ばんで汚くなってしまいましたが、一時期この文庫が絶版になってしまったために捨てきれず、現在も書棚にあります。

収録されている作品は、F104朱雀家の滅亡英霊の聲でしたが、なんと表紙は『F104』! この当時河出文庫はオオバカ野郎だと怒っていました。



さて、読者の熱烈な要請により昨年復刊されたようです。

英霊の声
英霊の声
posted with 簡単リンクくん at 2006. 7.31
三島 由紀夫著
河出書房新社 (2005.10)
通常2-3日以内に発送します。


表紙は 『英霊の聲』 、よかったですね。


帰神(かむがかり)の会で憑り坐した神霊から語られる言葉・・・荒魂の激しく悲しい慟哭は直会に出席した者たちを慄然とさせる。

     『などてすめろぎは人間となりたまいし。』

三島由紀夫のこの強烈なメッセージは、この作品を不朽の名作としました。



現代史を知っている若い世代には是非読んでいただきたい作品です。




ところで、
三島さんの作品はあまり多く読んではいません。特にエロいのは苦手で・・・。


傑作、豊饒の海のうち、春の海奔馬は好きな作品であります。

春の海けだるい美しさ
       こんな表現でいいのか?
奔馬棹尾の文の鮮やかさ・・・ここに書けないのが残念です。
       結末わかっちゃうもんね。


この二作は、機会があれば(ほんとにあったらね)書きたいと思います。



う〜ん・・・久々にまじめに作品を紹介した
           ・・・・・えったらーっ(汗) こ、これでexclamation&question 遊園地
posted by 金魚 at 10:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 純文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月12日

ガン告知・・・渡辺淳一の短編の中から

 ガンを告知すべきか否か


 最近は欧米に習い、日本でも積極的に告知がされるようになりましたが、それでもこの命題に正解はないでしょう。

 渡辺淳一さんは、失楽園に代表される恋愛小説と、医療をテーマとした小説という二つのジャンルの作品があります(この二者を兼ねそろえた小説もありますが)。

 大学生活の頃より、この医療をテーマにした小説を長編・短編と読みまくりました。その中で、ガン宣告を扱った短編を3つ紹介します。



優しさと哀しさと (書名)

   集英社文庫 収録 『優しさと哀しさと』


光と影 (書名)
   文春文庫 収録  『宣告』


白き手の報復(書名)
   中公文庫 収録  『遺書の告白』





 最初の作品『優しさと哀しさと』は、
呼吸器系の権威である大病院の院長が末期の肺癌とわかり、その教え子でもある部下達が、告知すべきか悩みながら治療に当たるというストーリーです。


 次の『宣告』は、
画壇の大御所という地位を占める画家に対して、告知すべきか・・・結局芸術家には余命まではっきりと告知して、悔いのない人生を全うさせたほうが本人のためにも、また、我々にとっても有益であるという医師の判断で宣告するが、その結果は・・・?


 三つ目の作品である『遺書の告白』は、
二人の子供を持つサラリーマンが食道癌になり、手術を受けるが、進行癌で手遅れであった。告知をせずに、最後を看取ろうとするが、その結果は?



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 医療を知り尽くしている元内科教授、画壇の老大家、商社の部長と、設定を変えてのがん告知のテーマ。

短編ながら読みではあります。是非読み比べてみてください。

最近は渡辺さんの小説をとんと読んでいないので、このほかにもがん告知をテーマとする作品がありましたら教えてください。





位置情報 ・・・ところで、「優しさと哀しさと」収録の『仮面の女』は、ミステリ風のなかなかの一品です。こちらもご賞味あれ。






 
 今回は、ディック・フランシスを語る予定でしたが、ミステリやSFばかり扱っていると、オタクのおっさんもうやだ〜(悲しい顔)になっちゃいますので、幅広いジャンルを心がけたいと思います。

 





posted by 金魚 at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 純文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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