2010年08月29日

本村洋 氏の闘い

本 なぜ君は絶望と闘えたのか ― 本村洋の3300日
門田隆将  新潮文庫



平成22年9月1日発行とありますが、今日書店で目にとまり、購入しました。



光市母子殺害事件・・・・・マスコミに大きく取り上げられた有名な事件であり、裁判であります。





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読みだしたら止められず、一気に最後まで読み切りました。








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内容紹介
1999年4月、山口県光市で23歳の主婦と生後11カ月の幼児が18歳少年・Fに 惨殺された。
たった一人残された夫・本村洋は、少年法によって二重三重に守られた犯人Fに果てしない闘いを挑んでいく。少年法を前に思考停止に陥ったマスコミや、相場 主義・前例主義によって形骸化した司法の世界など、本村の前には想像もできなかった 厚い壁が次々と立ちはだかった。
絶望に打ちひしがれ辞表を出す本村に、上司は「労働 も納税もしない人間が社会に訴えてもそれはただの負け犬の遠吠えだ。君は社会人たりなさい」と説き、裁判で敗れた検事は「たとえ100回負けても101回目をやる」と 語りかけるなど、さまざまな人たちが、絶望の淵を彷徨う本村を支えていく。
日本の司法を大変革させることになる歴史的な光市母子殺害事件の陰で展開された知られざる人間ドラマ。9年間にわたって事件を追いつづけたジャーナリスト門田隆将が差し戻し控訴審判決の翌朝、広島拘置所で犯人Fから吐露された意外な言葉とは――。2010年 秋放送、WOWOW「ドラマWスペシャル」(江口洋介主演)の原作にもなった感動ノンフィクション。






テレビで見る本村洋氏の人柄とその主張にひきつけられ、裁判の経過も注視しておりました。別ブログでもこの裁判について二度取り上げています。




地裁、高裁と敗北し、悲しみと絶望のなか、鋼のような強靭な意志で意見を述べる本村氏の力はどこから来るのか、驚きながらテレビを観、新聞を読みましたが、この本を読み彼の孤高の闘いを支える人々がいたのを知りました。




とは言っても、本村氏が絶望の淵から敢然と司法の壁に立ち向かって、同志とともに日本の司法の改革を成し遂げたことは称賛に値することでしょう。




あまりにも重いノンフィクションでありますが、読まねばならない作品でした。




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posted by 金魚 at 21:50| Comment(0) | TrackBack(0) | ノンフィクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年05月21日

久しぶりのノンフィクション 「 凍 」

本 
沢木耕太郎  新潮文庫


予告どおりに、沢木さんの作品を紹介します。



日本を代表するというより、世界有数のクライマーである、



       山野井泰史 さん



を題材にした、ノンフィクションであります。





これを読む気になったのは、


ゴルゴ13・「白龍昇り立つ」

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ゴルゴ13のこの作品を読むまでは、登山家には興味はなく、またその登山スタイルには全く知識がありませんでした。


ゴルゴ13のおかげで、極地法とアルパイン・スタイルという名前を知りました。


極地法とは、大規模な登山隊を組織して、大人数のポーターや動物を使ってベースキャンプまで大量の荷物を運び、多数の隊員を送り込む。そして前進キャンプを設営しながら荷物を上げていき、できるだけ頂上に近い地点に最終キャンプを設ける。そして、選ばれた数人の隊員が最終キャンプから頂上を目指すという、いわば物量作戦的な登山法です。



アルパイン・スタイルとは、これに対して、少人数、または単独で短期間のうちに頂上を目指す方法で、8000メートルを超える高山にさえも、酸素ボンベなしで登るという極めて困難な登山法です。




ゴルゴ13の「白龍昇り立つ」では、ゴルゴの敵役に、『極地法など登山家の恥だっ!!』と言わしめています。それは、莫大な資金を必要とし、大量のゴミを生ずる問題があるから。



そして、この中で、世界に評価された日本人クライマーとして、フリークライミングの平山裕示氏とともに、山野井氏が紹介されています。


山野井氏は、友人に「登山専門誌に10ページ載るより、ゴルゴに出る方が価値あるな」と言われたそうでw




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最強のクライマーとの呼び声も高い山野井泰史。世界的名声を得ながら、ストイックなほど厳しい登山を続けている彼が選んだのは、ヒマラヤの難峰ギャチュンカンだった。だが彼は、妻とともにその美しい氷壁に挑み始めたとき、二人を待ち受ける壮絶な闘いの結末を知るはずもなかった―。絶望的状況下、究極の選択。鮮かに浮かび上がる奇跡の登山行と人間の絆、ノンフィクションの極北。講談社ノンフィクション賞受賞。




生活のすべてが登山にあり、ストイックなほど厳しい登山というより、その生き方があまりにもストイックであります。



重度の凍傷のため手足の指を失ったり、落石により骨折したり、常人であればそれだけで登山を断念してしまう事故に遭いながらも、さらに困難な高峰を目指す山野井夫妻。



読み進めるうちに、アルパイン・スタイルとは、極地法と比較するような登山法ではなく、とてつもなく危険な登山スタイルであることがわかります。


死なない方が不思議とちゃう? ここまで自己を追いこんでまで頂上を目指す? 



あまりに過酷で凄烈な二人の闘いに、圧倒されながら読み切りました。



しかしながら、山野井氏は、決して無謀な冒険家ではありません。頂上を極めても下山しなければならないわけで、頂上を目指しながらも戻る方法と体力を冷静に判断して、アクシデントがあっても的確に判断し着実に行動する。




ゴルゴ13に収録されている山野井氏の談に、


「悪い状況になっても、「頑張ろう」と思ったことは今まで一度もありません。生きて還れる可能性が薄そうでも、その状況でやるべきことは決まっていますから。」


というものがありました。



「頑張ろう」と、変な力が入ったら、思考は柔軟さを失い、体は不自然な動きになり、即それが死につながる危険をはらむということなんでしょうか。プロはここまでの境地にいかなければならない。(・・・chochoさんブログへのAnswer?w)



冒険家でなく、科学者のように冷静に思考し、強靭な意志力で行動する。この小説の中で彼の『ゴルゴ的』活動力が描かれております。




ゴルゴ13「セレクション」と、この「凍」を合わせ読むと楽しいかな?




          頂上を極めた、一品。        




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posted by 金魚 at 20:51| Comment(2) | TrackBack(0) | ノンフィクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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